2020年02月02日

枯れ野の河原 (山国川)

山国川中流域の河原。
「冬枯れのシンフォニー」などと恰好つけたいのだ
が、顔の方がついてこないのでヤメておこう…。

帰郷してから、まず驚いたのが山国川の現状だった。
特に山間の谷底を流れ下る山国川が、平野部に解き
放たれる辺りから河口までは、自然状態の川岸がほ
とんど残されていない状態。
あの崖上から、槍のように突き立った杉木立を真下
に見て眺めていた大河・山国川も、大鯉が潜むとの
噂に通っていた雰囲気たっぷりのワンドの深渕も失
われ…。まだ二十代の薄学斎に突き付けられたのは、
用水路になってしまった山国川の姿だった。

あの頃もこの河原に立っていた。枯野の灌木はほん
のり緑の彩を付け、河原にはアブラナが咲いていた。
ラジオは記録的な黄砂の飛来を話題にしていた浅春。
「…何の疑念を感じることなく、無表情で堤防道路
を車で走り去る。お姉さんの顔が蝋人形と重なった
…」と、当時の薄学斎がメモ帳に書きつけてある。

あれから20年…。8年前の水災以来、山国川は用水路
から排水路となり続け、人心もデジタル化が進んだ。
同じ河原に立ち、同じ枯野を眺めながら、ただ傍観
し続けることしかできない、流されるだけの薄学斎
は山国川と同じなのかもと考えてしまう。

これが26年間、取り組んだ答えであるのなら悔しい。
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posted by 薄学斎 at 14:08|

2020年02月01日

紙資料の経年変化  其の一

ここに二冊の冊子がある。
「耶馬溪鐡道案内記」。鴛海國陽:著。
大正六年・廣津商店:発行。
それぞれ初版と大正八年・二版だが、同じ冊子である。

で、今回のお題は「紙の経年変化(劣化)」について。
紙は保管期間や環境によって状態の変化が大きくなる
製品の代表といえる。
よく「酸性紙問題」が語られるが、これは主に洋紙の
インクの滲み止めに用いられた硫酸成分の問題。
「和紙」は強いと思われがちだが、破れ・虫喰い・シ
ミ・ヤケ・湿気・カビ等に於いては、和・洋の区別の
なく紙製品全体の課題なのである。

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同時代発行の二冊の違いを画像でお伝えできるだろうか。
画像の左側の冊子が本来の色調に近いと思われる。

紙の変色の原因として考えられるのは個人的な経験とし
て、日焼け(褪せ)・ホコリヤケ・湿気・高温多湿の差
の大きい環境・隙間風などがある。あと「酸化劣化」と、
他の酸性紙からの酸化移り(和紙や中性紙であっても注
意)。複合的であったり誘発促進させる条件であったり
して、紙の変色・劣化の原因を特定させることは難しい。

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裏表紙画像。ピンクの鋭角が二冊の境界線。
表紙面とは逆に右側の方が、金具のサビが滲んでいるが
本来の色調に近いと思われる。

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そして…今回、初版と二刷では表紙の柄絵が若干異なる
ことを発見。消えてしまったとは考えにくい。
印刷ミスか変更か?。まさか色合いまで変えたのか?…。
この冊子に関しては今後、複数の同一冊子の検証が必要。

やはり難しい…。てか、お題の件はどうした?。
其の一は企画倒れというオチにて…スンマセン。

posted by 薄学斎 at 01:14| 本・資料