2019年11月07日

「山をめぐる人と書物」

薄学斎が「古き良き時代の山の文学」に接するキッカケとなった作家
が2人いる。その1人が標高1800mの長野県・霧ヶ峰高原の山小屋主人
・手塚宗求さん。
当時、手塚さんの山小屋「ころぼっくる・ひゅって」で著者署名入り
の著書が入手できたので、チビチビと通い集めていた。

ニッコウキスゲが見頃の盛夏の霧ヶ峰。夕刻、流れてきた霧が立ち込
める。アルミ製三脚を持つ指の感覚が鈍くなるほどの肌寒さ。
そして著書を買おうと山小屋に入ると、黒縁の眼鏡のおっちゃんに迎
えられた。初めてお会いした手塚さんだったが、お互いな照れとも気
恥ずかしさともいえない奇妙な空気感に、どのような会話を交わした
のかは覚えていない。どこか私メと性格的に似ている部分があるなと
感じた初対面時の印象は今も変わらない。

帰郷後「山をめぐる人と書物」が出版され地元で購入した。
バイクで北海道に向け日本海沿いを北上中に、加賀から岐阜・郡上八
幡、長野・駒ヶ根を経由して6年振りの霧ヶ峰。
無料化されたビーナスラインはごった返し、もう酷い状態。夏山の最
盛期の「ころぼっくる・ひゅって」に無礼承知で訪問。休憩中の手塚
さんに持参した本に署名依頼をすると快諾して頂いた。

先ほどから長身の手塚さんが行き来している。「まだ2.3本有ったん
だがなぁ〜」と。「本の帯」を探している。自宅にあるからと断わっ
ても「帯を巻くとですね本が…こぅ…ぐっと引締まるんですよ」と…。
結局、これが手塚さんとお会いした最後の機会になってしまった。

本文内容の他にも物語を紡ぐ本がある。

ブ・20191105-1.JPG
2000年・恒文社:発行。
帯は手塚さんが巻いてくれたまま。

ブ・20191105-2.JPG
「きっと手塚さん嬉しかったんだよ〜」。帯と落款まで捺してくれた話を
した際の、知人の方の感想。そうであったのなら私メも嬉しい。

・手塚文学に触れる最初の一冊は…どの著書からでもすんなりと入れます。

posted by 薄学斎 at 07:34| 本・資料